no-photo

Vol.81

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
      R E I C マ ガ ジ ン  Vol.81       
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2018.6.5 ━━━━━
6月1日は「気象記念日」でした。明治8年のこの日、気象庁の前身である
東京気象台において気象と地震の観測を開始したことを記念して制定された
記念日です。当時は観測点も少なく、天気予報も大雑把な内容でしたが、
最近では、スーパーコンピュータを用いて数値予報を開始するなど、
目覚ましい発展を遂げています。
さて、本号では、東京工業大学 松岡教授による特別寄稿をお届けいたします。

━━━ INDEX ━━━

[1] 特別寄稿
   『リモートセンシングによる災害把握の研究』
     東京工業大学 環境・社会工学院 建築学系
             教授   松岡 昌志 氏

[2] REICニュース
  1. 定時総会、防災セミナー、ビジネス交流会のお知らせ

[3] 断層トリップ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
[1] 特別寄稿
   『リモートセンシングによる災害把握の研究』
     東京工業大学 環境・社会工学院 建築学系
             教授   松岡 昌志 氏
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
1995年兵庫県南部地震は被害状況の早期把握の重要性を認識させた。
当時,私は前年末に発生した三陸はるか沖地震の現地調査のため八戸に
いた。テレビにて報道機関等が撮影したヘリコプターからの映像や写真を
みて,被害の大きさに愕然としたのを覚えている。しかし,これらの被害
情報は局所的であり,被害の全体像を理解するには不十分であった。そこ
で,広域的な被害状況を把握する手段として,人工衛星画像の利用を思い
ついた。画像データの記録媒体がオープンリール磁気テープからCD-ROMに
替わり,パソコンが高性能化したことで,個人でも比較的簡単にデータ
処理ができるようになっていた。また,強震動解析で使い慣れていた
Fortran言語でも人工衛星画像データのバイナリ処理が出来ることを教示
いただけたことも幸運だったと思っている。C言語を習得すべき,となれば,
画像利用を諦めていただろう。

この地震を皮切りに,人工衛星リモートセンシングによる災害把握の研究
を始めたが,研究を後押しするものは他にもあった。まずは,画像の空間
解像度の向上である。民生用の地球観測衛星は1972年に米国が打ち上げ
たLandsat衛星が最初で,当時の空間解像度は80mであった。しかし,1990
年代は10m,2014年からは人工衛星画像の解像度は30cmまでになって
いる。これは,1994年3月の米国大統領令による規制緩和に伴い,軍事技術
の一部が民生に転用できることになったからであり,Googleが2005年に
Google Map/Earthをリリースして,衛星画像が身近になったこともリモー
トセンシングの研究を加速させている。しかし,高分解能の人工衛星画像
が使えるようになっても,災害直後に被災地域を観測してくれなければ
意味がない。もうひとつの後押しは,2000年に欧州宇宙機関,フランス
国立宇宙研究機関,カナダ宇宙庁が始めた国際災害チャータである。これ
は各国や地域の宇宙機関が持っている人工衛星などの宇宙リソースを,
自然あるいは人為的災害の被災を受けたステークホルダーに提供する国際
的な枠組みで,具体的には,世界のどこかで災害が発生した際に人工衛星
が被災地域を優先的に観測して,その画像や被害を判読した解析結果を
被災者等に無償で提供すると共に,Webで情報を公開する仕組みである。
JAXAは2005年にチャータに加わり,日本の人工衛星が災害観測に役立て
られている。

このようにリモートセンシングによる災害把握の研究は,関連技術や体制
の変化があったからこそ実施できたと思っている。その変革の時期にこの
研究にかかわる機会を得たことに感謝している。最近では,ドローンの
登場,AIやコンピュータビジョンの分野で培われた画像処理技術の応用
など,災害軽減を目的としたリモートセンシングの研究はさらなる進化を
していくと思う。

東京工業大学 松岡研究室
https://sites.google.com/site/matsuokamtokyotech/Home

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
 [2] R E I C ニ ュ ー ス
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
1.  定時総会、防災セミナー、ビジネス交流会のお知らせ

REICの定時総会(第16期)の開催日が確定しました。
当日は、REIC防災セミナー、ビジネス交流会もあります。
こちらは会員以外の皆様もご参加いただけます。
皆様お誘い合わせのうえ、ぜひお運びください。

■ 定時総会のご案内 ■
 開催日: 平成30年6月14日(木)
 時 間: 15:00~15:45
 会 場: ヒューリック ホール&カンファレンス http://hulic-hall.com/
(台東区浅草橋1-22-16、JR総武線・都営浅草線「浅草橋」駅前)

※ REIC会員の皆さまへ
 総会議案書同封のはがきは、6/7(木)までに
  事務局までご返送くださいます様お願いいたします。

■ 第21回REIC防災セミナー、ビジネス交流会 ■
 開催日: 平成30年6月14日(木)
 時 間: 16:00~16:45 REIC防災セミナー
      17:00~19:00 ビジネス交流会
 会 場: ヒューリック ホール&カンファレンス http://hulic-hall.com/
 (台東区浅草橋1-22-16、JR総武線・都営浅草線「浅草橋」駅前)

《防災セミナー概要》
  講演 「南海トラフ巨大地震への新しい対応」
  講師  東京大学 地震研究所・地震予知研究センター
          センター長・教授   平田 直 氏

※ 防災セミナー、ビジネス交流会は会員以外の方も参加できます。
  申込用紙に必要事項をご記入の上、事務局までメールまたはFAXにてお申し込みください。
  セミナーの詳細・参加申込書はこちら

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
 [3] 断層トリップ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
日本には2千以上の活断層があると言われています。
断層のずれを観察できたり、ジオパークなどに登録されているスポットが
各地にあります。そんな場所をご紹介いたします。

第11回:新倉断層

山梨県早川町の新倉断層は、「糸魚川-静岡構造線」の逆断層が露出して
いるものです。この「糸魚川-静岡構造線」は日本列島を南北に横断するもので、
フォッサマグナの西端に位置します。
第一級の断層である「糸魚川-静岡構造線」が典型的に見られる場所として
貴重であるとして、平成13年に天然記念物として国の指定を受けました。

住所:山梨県南巨摩群早川町新倉字明川2913-1
アクセス:中央自動車道 甲府南ICから車で70分
http://www.town.hayakawa.yamanashi.jp/tour/spot/cultural/itoi-arakura.html
(早川町ホームページより)

——————————————————————-
※ REIC Facebookはこちら
——————————————————————-
※ REICへの入会案内はこちら
※ 本メールは配信を希望された方、REIC会員の方(前会員の方も含む)、
  REIC主催のイベントにご協力、ご参加いただいた方にお送りしています。
  REICマガジンの配信申込み・停止およびご意見・ご感想・情報提供は
  こちらまで
——————————————————————-
【REICマガジン】
発行日:月1回・毎月上旬発行(休刊:GW、年末年始など)
発行開始月:2011年10月
発行元:〒111-0054 東京都台東区鳥越2-7-4 エス・アイビル4F
特定非営利活動法人リアルタイム地震・防災情報利用協議会 事務局
TEL:03-5829-6368 FAX:03-3865-1844 HP: http://www.real-time.jp
——————————————————————-
Copyright(C)Real-time Earthquake Information Consortium.All Rights Reserved.
掲載記事を許可なく転載することを禁じます。