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Vol.49

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      R E I C マ ガ ジ ン  Vol.49       
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2015.10.2 ━━━━━
この度の、関東・東北豪雨により被災されました多くの方々に、心よりお見舞い
申しあげますとともに、一日も早い復興を心よりお祈り申しあげます。
10月23日は、新潟県中越地震から11年目の日となります。
災害の記憶を風化させず、次の世代へ継承していく必要性について
今回は、京都大学 釜江克宏教授、中越防災安全推進機構 松本様による
特別寄稿をお届けいたします。

━━━ INDEX ━━━
[1] 特別寄稿1
   『地震防災教育の重要性・必要性
-地震に関する初歩的な知識でも救える命がある-』
      京都大学原子炉実験所副所長 教授 釜江克宏氏

[2] 特別寄稿2
   『中越メモリアル回廊』
      公益社団法人中越防災安全推進機構
      震災アーカイブス・メモリアルセンター
      おぢや震災ミュージアム そなえ館 館次長 松本勝男氏

[3] REICニュース
   1. REICレポート「鬼怒川氾濫による常総市の水害被災地調査」
   2. 第17回REIC防災セミナー開催のお知らせ

[4] 会員トピックス
   ・ OYOフェア2015「事業に役立つリスクへの対処法」開催のお知らせ
   ・「GITA-JAPAN 第26回 コンファレンス」のご案内

[5] 歴史に学ぶ ==10月の災害史==
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[1] 特別寄稿1
   『地震防災教育の重要性・必要性
-地震に関する初歩的な知識でも救える命がある-』
      京都大学 原子炉実験所副所長 教授 釜江克宏氏
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地震災害軽減のためには将来の地震時の地震動を予測することが
重要且つ不可欠であり、これまで筆者は予測手法の開発や関連する
地盤震動に関する研究を行ってきた。
機会があれば、この分野の現状や課題などについて概説したいが、
本稿では地震防災教育の重要性や必要性について簡単に紹介したい。

筆者は、10年ほど前から京都大学大学院エネルギー科学研究科の
協力講座として学部生にも2回/年の講義を行っている。
タイトルは「強震動予測研究・技術の最先端」としているが、
地震の基礎知識や地震防災戦略など、「地震を知って、地震に備える」を
モットーに地震防災教育的な内容としている。
毎回、講義終了後に有効な地震防災戦略とその理由を問うレポートの
提出を求めている。
一時は200人程度の学部生が受講し、採点にも多大な労力と時間を
費やしたが、学生の地震防災への関心や向き合い方などが分析できる
良い機会を得ている。
この間、小学生相手の出前授業を行ったこともあるが、その感想文の中には
大学生と同じ視点でのレポートもあり、防災教育の奥の深さを実感した。
有効な地震防災戦略としては、耐震補強やハザードマップに加え、
その年にあった出来事やマスコミの発信にかなり影響を受ける傾向があり、
例えば緊急地震速報もその一つである。
被害地震の発生、緊急地震速報の成功、誤報となった場合の
マスコミ報道など、結果として有効な地震防災戦略として
緊急地震速報が多く提案された。
防災教育が有効とする学生も多く、東日本大震災での釜石の例(教育による
避難によって大津波から逃れられた)を上げる学生もいた。

最後に東北地方で地震に遭遇し、非常に長い揺れを感じた場合は、
プレート境界の大・巨大地震の発生を考え、その後の巨大津波からの避難
(海岸から遠く、また高く)を最優先に考えなければならない(西日本でも
南海トラフ沿いの巨大地震の発生が危惧されており、同様な対応が必要)。
残念ながら、東日本大震災ではその知識がなく、揺れが収まるや海岸に
近づき若き命を落とした学生さんもいた。
簡単な地震や津波の知識があれば、助かる命であったと悔やまれ、
今後も地震防災教育にも微力ながら尽力したいと思っている。

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[2] 特別寄稿2
   『中越メモリアル回廊』
      公益社団法人中越防災安全推進機構
      震災アーカイブス・メモリアルセンター
      おぢや震災ミュージアム そなえ館 館次長 松本勝男氏
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平成16年10月23日に発生した新潟県中越大震災の被災地、
中越地方は新潟県のほぼ中央に位置し、大河、信濃川流域によって形成
された長岡平野が広がり、その周辺の丘陵には数多くの集落が点在する。
中山間部には棚田が分布しており、「日本の原風景」などと呼ばれている。
そんな中山間地域を中心に襲った最大震度7の直下型地震だった。

自然災害の凄まじさを経験した震災から昨年で節目の10年を迎えた。
その「経験と知見を後世に語り伝えていく」ため、震災時全国多くの
みなさまの支援に「感謝の気持ち」を伝えるため、そして復興の
過程で育まれた多くの「交流」の拠点として誕生した施設群が
「中越メモリアル回廊」である。

被災地に点在する4施設・3メモリアルパークは
「被災地まるごとアーカイブス」をコンセプトにコンパクトに整備され、
各施設や震災メモリアルポイントを巡りながら
大震災の実像を浮かび上がらせ、また、来訪者が回遊していただくことで
地域経済の活性化に寄与し、交流人口の増加につなげる事も意識して
事業展開を行っている。

各施設はそれぞれにテーマがある。
回廊の入り口であり、中核施設を担う長岡震災アーカイブセンター
「きおくみらい」は、先進のIT技術を活用した知的情報集積拠点で
震災の記憶にふれ、回廊周遊の旅へ誘う。
やまこし復興交流館「おらたる」は、山の暮らしの再生と
地域活性化拠点として、
川口きずな館は、被災を通じて育まれた「絆」にふれることで、
新たな交流を紡ぎ広げる地域活性化拠点として、
おぢや震災ミュージアム「そなえ館」は、震災発生から復興までの
月日をたどり、防災知識を再確認、災害体験の伝承と防災学習
拠点施設として、それぞれ特徴ある運営がなされている。
また、震災の爪痕をそのまま保存し、後世に伝えていくために
3か所のメモリアルパークを併設した。

現在、首都圏や隣県を中心に、自主防災組織、町内会幹部、消防団、
民生・児童委員協議会、行政職員など地域防災を担う団体や
地元小中学校の防災教育の一環として活用されている。
今年7月には累計25万人の来館者を迎えた。
中越メモリアル回廊は、次世代を担う子どもたちや地域を担う人々へ 、
そして未来へ、さまざまな情報を発信し続けている。

「中越メモリアル回廊」 http://c-marugoto.jp/
公益社団法人中越防災安全推進機構 http://c-bosai-anzen-kikou.jp/

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[3] R E I C ニ ュ ー ス
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1.  REICレポート「鬼怒川氾濫による常総市の水害被災地調査」
 先月、北関東地域に甚大な被害をもたらした「関東・東北豪雨」における
 茨城県常総市の現地調査を行いました。
 詳細はこちら

2.  第17回REIC防災セミナー開催のお知らせ 
 12月4日(金)に、第17回REIC防災セミナーを開催します。
 今回は拡大版セミナーとし、3講演をおおくりします。
 開催要項につきましては、追ってREICホームページなどでご案内
 いたします。
  日時:平成27年12月4日(金)13:30~18:00(終了後、交流会予定)
  会場:浅草公会堂 第1集会室

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[4] 会員トピックス
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◆OYOフェア2015「事業に役立つリスクへの対処法」開催のお知らせ
 応用地質株式会社主催の、「OYOフェア2015」が開催されます。
 日時:10月7日(木)、8日(金) 10:00~17:00
 会場:秋葉原UDXギャラリー
     (東京都千代田区神田4-14-1、4階OYOフェア受付までお越しください。)
 入場料:無料
 詳細はこちら

◆「GITA-JAPAN 第26回 コンファレンス」のご案内
 GITA-JAPAN主催の、「GITA-JAPAN 第26回 コンファレンス」が開催されます。
 日時:11月5日(木)、6日(金)2日間
 会場:海運クラブ2階(東京都千代田区平河町2-6-4)
     (東京メトロ半蔵門線・有楽町線・南北線「永田町」出口より徒歩1分)
 入場料:無料
 詳細はこちら

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[5] 歴史に学ぶ ==10月の災害史==
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今号より、REICマガジン発行月における過去の災害史をご紹介します。
過去の災害から、現在の備えを学ぶきっかけになれば幸いです。

・1707年(宝永4年)  宝永地震
・1855(安政2年)   安政江戸地震
・1891年(明治24年) 濃尾地震
・1951年(昭和26年) ルース台風被害
・1978年(昭和53年) 有珠山泥流災害
・2004年(平成16年) 新潟県中越地震

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