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Vol.45

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      R E I C マ ガ ジ ン  Vol.45       
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2015.6.5━━━━━
今月は東京大学目黒公郎教授のネパール現地報告と東北大学源栄教授の
早期地震警報システムについてお送りします。
また、6/16にはREIC定時総会およびセミナー・ビジネス交流会を開催
します。この機会に参加をご検討ください。
━━━ INDEX ━━━
[1] 特別寄稿
   『2015年ネパール・グルカ地震被害調査速報』
    東京大学 目黒公郎教授
[2] 会員トピック
   『早期地震警報システムの今後の発展に向けて』
~予測からナビゲーションへ~
    東北大学災害科学国際研究所 源栄正人教授
[3] 事務局からのお知らせ
    定時総会、防災セミナーおよびビジネス交流会のご案内
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[1] 特別寄稿
   『2015年ネパール・グルカ地震被害調査速報』
      東京大学 目黒公郎教授
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 2015年4月25日午前11時56分に、ネパールの首都カトマンズ市の北西77km
の地下15kmと震源とするMw7.8(USGS)が発生した。死者はネパールの8,460人
をはじめ、周辺国のインド78人、中国25人、バングラデシュ4人を合わせ、
8,567人(5月15日現在)である。M8クラス、震源深さ15km、カトマンズ市に
向かって断層破壊が進展したDirectivity、さらに建物の耐震性を考慮すると、
カトマンズ盆地内の揺れは予想を大きく下回るものであった。脆弱な組積造でも
崩壊せずに残っているものが多いこと、多くのビルの屋上に設置されていた
水タンク(華奢な鉄のフレームの上に設置)の多くが被災していないこと、住宅内の
棚に飾ってあった不安定な形状の置物や写真たてなどが全く移動や転倒していない
事例などを見て驚いた。
 建物被害は世界遺産建物をはじめとする古くて耐震性の低い組積造建物に限定
される。被災地の組積造は、石(成形されたものと不規則な形状のもの)、日干し
レンガ(アドべ)、焼成レンガ(焼成温度が低いものと高いもの)に分類でき、目地
材としては(泥、泥+石灰、貧配合セメント、セメント)モルタルである。これらの
組み合わせによって耐震性の程度が決まるが、今回の被害は、低耐震の代表である
不成形の石積み、アドべ、低温焼成レンガに、目地として泥や泥+石灰、貧配合の
セメントモルタルを用いた組積像がほとんどだ。鉄筋コンクリート(RC)建物で被害
を受けているものは柱梁の接合部の強度が不十分な建物である。
道路被害はカトマンズ市の郊外の道路は斜面崩壊の影響で多くの被害を受けたが、
市内の道路の被害としては法尻方向に少し滑った箇所や道路の中央部分で段差が
生じた事例など限定的だ。同様に橋梁も多くは問題なく、橋桁のずれ防止装置
(RC製)が桁の衝突によってせん断破壊しているものが少数見られただけである。
 … 
  続きは REICホームページよりご覧ください。http://goo.gl/yYtROh

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[2] 会員トピック
    『早期地震警報システムの今後の発展に向けて』
~予測からナビゲーションへ~
    東北大学災害科学国際研究所 源栄 正人教授
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 東日本大震災は、多くの強震観測データが得られた初めてのM9クラスの地震で
あり、その有効活用による学術貢献・社会貢献が期待されています。地震工学・
地震学の分野では、観測データに基づく地盤構造や建築・構造物のシステム同定
にもとづく揺れの予測の高精度化とともに、必ずしも信頼性の高くないモデルに
よる「予測」から、観測と解析の調和連動により状況の変化に対応する「ナビゲ
ーション」が必要のように思います。
 また、原発の甚大な被害など震災の教訓として、システムの冗長性の必要性が
クローズアップされたのも事実である。早期地震警報関連では、システムの
冗長化による誤報対策など、逐次変化する震源情報に対応可能システムの改善や
伝播経路の途中の波形情報の有効活用によるシステムの改善・高度化が求められ
ています。
 筆者らは、100万都市仙台をはじめ内陸部の都市や産業地帯の地震対策に貢献
すべく、構造ヘルスモニタリング(SHM)機能を有するリアルタイム地震観測装置を
地域の地震観測網として展開し、緊急地震速報との融合により早期地震警報(EEW)
の予測精度の向上や冗長性を高めるための地域版次世代早期警報システムの開発
を行ってきています。平成26年度までに、仙台市とその周辺の内陸部を取り巻く
ようにリアルタイム地震観測点を15地点に配置してきており、モンゴル国の公共
建物への海外展開も行っています。建物内に設置した複数の高感度地震観測装置を
用いたシステム同定手法によるSHMや、伝播経路の波形情報を有効活用した地震
動予測の高精度化とともに、システムを活用した地震情報ナビゲーションに向けた
研究による学術貢献と防災教育への活用も含めた社会貢献を目指しています。
これらの活動について、本年4月に米国カリフォリニアパサデナで開催された米国
地震学会で招待講演を行いました。
 関係の皆様、温かいご支援・ご協力をお願いいたします。

キーワード:
システムの冗長性、誤報対策
オンサイト+ローカル・
実験観測と理論解析の対応
予測からナビゲーション、逐次変化に対応する
伝播経路の途中の情報の有効活用
構造ヘルスモニタリングとの融合システムの紹介、

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[3] 事務局からのお知らせ
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ただいま防災セミナー、ビジネス交流会の参加を受付けています。
  詳細、参加申込書はこちら 
皆さまの参加申込みをお待ちしています。

■定時総会、防災セミナーおよびビジネス交流会スケジュール
 開催日:平成27年6月16日(火曜日)
 会 場:日本財団ビル(東京都港区赤坂1丁目2番2号)

 15:00~15:45 定時総会(2階大会議室)
 16:00~16:45 REIC防災セミナー(2階大会議室)
 17:00~19:00 ビジネス交流会(2階会議室3,4)
 * 防災セミナー、ビジネス交流会は会員以外の方も参加できます。

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