特定非営利活動法人 リアルタイム地震・防災情報利用協議会

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                            平成24年10月1日 Vol.13
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 台風一過のさわやかな秋晴れのなか、約100年前の姿に復元された
 東京駅丸の内駅舎が、本日公開されました。
 屋根の一部には石巻市雄勝町の天然スレートが使われ、基礎には巨大
 地震にも耐えうるための免震装置が組み込まれているそうです。
 未来へ継承されることを願います。

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・ 特集① ………… REIC片山会長がシリーズでお届けする
             かたやま通信-No.13 『 私の鍼の先生 』

・ 会員トピック …… 株式会社ホームサイスモメータ
             『 地震動自動解析ソフトウエアの紹介 』

・ 特集② ………… REIC 3.11 ~風の便り~ Vol.11

・ REICニュース … 日本地質学会第119年学術大会に参加しました!
             (9/15~17 於:大阪府立大学)

・ お知らせ ……… 防災科学技術研究所では新しい「強震モニタ」の
            実験参加者を第2回募集中です!!!

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■ 特集 ①  かたやま通信-No.13 『 私の鍼の先生 』
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 ロンドン・オリンピックで男女両チームが大活躍してから、つい先日終った
女子20歳以下(U20)のワールドカップまで、今年の夏は、わが国のサッカー
チームの躍進が目立った。私は、日本サッカー協会(JFA)に頼まれて、U20 に
参加する国々の関係者に、地震の話をする機会があった。この辺のことは、
6月のかたやま通信で触れたとおりである。

 そのとき、JFA に紹介していただいたのが妻木充法先生である。独特の
鍼灸治療をなさり、巷間ではゴッドハンドと称されている。5月から2週間に
1回の割合で通院して鍼の治療を受けている。残念ながら、それでも腰痛の
ほうはよくならない。だが、妻木先生の名誉のために書いておくと、これは
もっと早く治療を始めなかった私自身の責任が大きい。

 妻木先生は、FIFA (国際サッカー連盟)の要請を受けて、韓国、ドイツ、
南アフリカで開催されたワールドカップの審判へのメディカルサポートに参加し、
ロンドン・オリンピックでも、正式に依頼された7人のマッサーの1人として活躍
された。この7人は、開催国イギリスから5人、スイスと日本からそれぞれ1人
というから、代表選手になるよりも狭き門である。

 ここから先は、ほとんど全部妻木先生が書かれたものからの受け売りである。

 大切なのは、「審判へのメディカルサポート」という言葉だ。実は審判は
アスリートなのだ。主審は1試合90分間で10~14キロ走り1000回近く方向転換
する。副審の移動距離も6~8キロになる。FIFAは、①審判技術、②体力、③メンタル、

④メディカルの4つの分野から、審判団を専門的にサポートしている。
オリンピックに集まった各国からの審判は84人。審判は試合の途中で交代できない。
だから、7人のメディカルサポートが重要な役目を果たす。妻木先生は、メディカル
サポートを行うメンバーなのである。

 ついでに、審判についても書いておこう。審判は、皮肉なことに自国の代表
チームが上位に残ると、出場する可能性がなくなる。日本の審判は、日本代表
チームを含め、アジアのチームが決勝に残ると、当然その試合には選ばれない。
サムライブルーとなでしこジャパンの準決勝が決まった時点で、男子3人、女子
2人の日本の審判は帰国し、残ったのは、妻木先生1人になってしまった。

 こんな裏話を聞くと、サッカーを見る興味が一段と増すのではなかろうか。

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■ 会員トピック 株式会社ホームサイスモメータ
             『 地震動自動解析ソフトウエアの紹介 』
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 ㈱ホームサイスモメータ、岩手大学工学部(客員教授)、京都大学防災研究所
(非常勤講師)の堀内です。専門は地震学です。

 私は地震波自動解析システムの研究を、長年行ってきました。この研究を
始めたのは1984年で、当時は東北大学の助手でした。若さと、暇にまかせ、
当時の性能の低いパソコンで、128チャンネルの地震観測データをリアルタイムで
解析し、震源やマグニチュードを推定するシステムを開発しました。自動解析シス
テムの研究は、ノイズとの戦いで、時間がかかり、成果が上がり難い研究分野
ですが、発展性があり、楽しい研究でもあります。防災科学技術研究所異動後は、
片山所長命で、気象庁緊急地震速報システムの研究開発を行いました。
私自身は、世界に先駆けて行われた「気象庁緊急地震速報システム」の開発に
貢献できたと思っております。

 防災科学技術研究所退職後、ホームサイスモメータというソフトウエア開発会社
を設立しました。私どもが開発した緊急地震速報関連のソフトウエアは、
1)地震波とノイズとの識別機能、2)リアルタイム震度計算、3)即時震源、
マグニチュード決定システム、です。ノイズ識別ソフトは、大振幅のノイズを地震と
間違えることなく判別できます。リアルタイム震度は、バッテリー駆動型の端末に
組み込むことを前提に開発されたため、従来方法に比べ、1/10000程度の演算で
計算できます。

 最近、㈱チャレンジと共同で、巨大地震に対応した緊急地震速報システム
(EQガードⅡ)を開発し、販売を開始しました。気象庁の緊急地震速報は、
点震源モデルで計算しており、巨大地震が発生した場合は、震度を過小評価します。
また、津波予測も過小評価になります。この端末は、多数の端末でのリアルタイム
震度から、断層面の拡大をリアルタイムで推定するアルゴリズムが組み込まれて
いるため、普及すると、東海、東南海地震が発生した場合に、震源域が広がって
いく様子をリアルタイムで実況中継できます。震源域推定方法については、昨年度の
REICの講演会や学会等で紹介しました。

 この他、地震波のP波、S波到着時刻を自動的に読み取るためのソフト開発を
行っております。自動読み取りの研究は1970年代から世界の多くの研究者により
行われておりますが、いまだに精度が低く、人間による再読み取りが必要です。
日本全体では、100名以上が毎日、地震データの読み取り作業に従事しています。
弊社では、人間以上に高精度の地震波自動読み取りソフトウエアの開発を目指して
おり、一部の観測データ用には、完成しました。このソフトは鉱山やガスの採掘時に
発生する微小破壊(AE)の震源決定にも応用可能で、東京大学地震研究所や、
ガスの探査会社等に納入しました。
 
 弊社は、高度で、信頼性の高いソフト開発を得意とする会社ですので、
よろしくお願いします。

㈱ホームサイスモメータ http://www.homeseismo.com/
           e-mail: horiuchi@homeseismo.com

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■ 特集 ②  REIC 3.11 ~風の便り~ Vol.11
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REIC水井です。
今回は、福島県南相馬市の避難区域について話をします。

南相馬市は福島第一原発の北側に位置しています。
町は南北に縦長で、今回の事故により20km圏内、30km圏内、それよりも外側の
地域と、三分割されてしまいました。

REICでは、2012年1月より南相馬市臨時災害エフエム局に対して「緊急地震速報
(予測情報)」+「防災科研の強震モニタ(実測情報)」を受信・表示できる専用PC
を提供し、地域に根付いたラジオ局が地震情報をどのように有効活用できるのか
検証しています。
いつかは、地域の災害情報ステーションに発展して行ければ理想なのですが。

ラジオ局(市役所内)がある地区では、早くから住民が帰宅しているのですが、
20km圏内に位置する南部の地区は今年の夏前に立ち入り禁止が解除され、
一時帰宅(宿泊は禁止)が可能となり、ようやく地震・津波被害を受けた家屋の
片付けが行えるようになりました。
岩手県や宮城県から遅れること約1年以上です。

今は、情報支援以外にも、東京と広島のボランティアチームと共に、月1~2回
程度、家具類運び出しや、泥かき、草刈りなどの人的支援も行っています。
(事前に放射線量を計測し安全は確認しています)

日中だけ帰宅し、ご自宅を清掃されている方々も多く見られます。
しかし、子供の姿は少なくなり、閉校されるところもチラホラ出てきています。

移動中の車から見える閉校のお知らせ看板が少しもの悲しいですね。

次回は、知り合いになった住民の方の声をお伝えします。

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■ R E I C ニ ュ ー ス
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○日本地質学会第119年学術大会に参加しました!

9月15日~17日、大阪府立大学にて日本地質学会が開催されました。
大会の趣旨は「都市から発信する地質学」というもので、今後予想
される都市部での自然災害に、いかに地質学が貢献できるかという
ことがテーマです。

公開シンポジウムは、下記の2件でした。

1.「上町断層の地下構造と運動像ー都市域伏在活断層の地質学ー」
2.「西日本の海溝型地震と津波を考える」

1の上町断層は、大阪府を南北に貫く活断層なので、地元の方も
大変興味を持たれたようです。ただ、都市部の伏在活断層は、
調査するのが非常に難しいので調査手法の開発というのも今後
大変重要な課題となります。最近、REIC事務所がある四谷付近
から田端にかけて伏在活断層があるという報告もあり、人ごと
ではないという感じがします。

2の海溝型地震と津波のシンポジウムでは、必ずしも地震の規模
と津波の大きさは比例する訳ではなく、どのような地震の場合に
甚大な被害を及ぼす津波が起きるのかを解明するのが今後の重要
な課題であるということになりました。

特に、2011年の東北地方太平洋沖地震では、断層の滑り量が50m
にも及ぶという特異な現象が起きています。このような地震がなぜ
起きたのかを調査するために、日本が建造した「ちきゅう」という
科学掘削船による海底ボーリングが実施されています。

「Japan Trench Fast Drilling Project」という京大防災研
のJim mori教授を首席研究員とするプロジェクトがそれで、今回掘削
後の初めての学会発表ということで、地質学会としてもプレス発表を
しています。

このような研究は、まさに始まったばかりで、詳しいことが分かって
くるにはまだ時間が掛かると思いますが、実際に防災・減災に役立つ
ような成果が上がってくることを期待したいと思います。

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◆ お 知 ら せ ◆
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○防災科学技術研究所では新しい「強震モニタ」の実験参加者を
            第2回募集中です!!!
         
独立行政法人防災科学技術研究所は、全国に設置した強震計で観測される
日本列島の「今」の揺れと、緊急地震速報による予測情報を重ねて表示する
新しい強震モニタの試用版を開発しました。

<防災科研によるプレス発表資料>
http://www.bosai.go.jp/press/2012/pdf/20120903_01.pdf

この試用版強震モニタの提供実験が9月3日より開始されました。
第2回参加募集人数は、先着2000名で参加費用は無料です。
(アンケートに回答する必要有り)

下記のURLから参加申し込みができますので、まだお申し込みされていない
方は、ぜひご参加ください。

<新しい「強震モニタ」の提供実験のページ>
http://www.kmoniexp.bosai.go.jp/

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発行開始月:2011年10月

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