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Vol.16

                            平成25年1月7日 Vol.16
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┃          R E I C マ ガ ジ ン            ┃
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 明けましておめでとうございます。本日が仕事始めの方も多いのでは
ないでしょうか。久しぶりに早朝の冷気を吸い、お正月で緩んでいた
心身が動き出した気分です。
 今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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・ 特集① ………… REIC片山会長がシリーズでお届けする
            かたやま通信-No.16 『REICになにが出来るか』

・ 会員トピック …… 『有益な空振り、有益な無駄足』 ~弘前大学~    

・ 特集② ………… REIC 3.11 ~風の便り~ Vol.14

・ REICニュース…… 第12回国土セイフティネットシンポジウム
             『巨大津波からどのように身を守りますか?』を開催します

・ 職員日記 ……… 『東松島市仮設住宅でのボランティアに参加して』

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■ 特集 ①  かたやま通信-No.16 『REICになにが出来るか』
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 明けましておめでとうございます。昨年中はいろいろとお世話になり
ました。本年もよろしくお願いいたします。

 ところで、NPO法人などというと、あちこちから寄付金をいただいて、
好きなことをやっていると思われがちだが、とんでもない間違いである。
REICが給料を支払っているのは、常勤2人、週2日出勤のアルバイト1人。
あとは、非常勤が数名だが、この方たちにお支払いしている委託料は
申し訳ないほど少ない。

 一昨年の夏から、米国の財団からの寄付を受け、東日本大震災の
調査、ボランティア活動のために専従職員2人が活動してきた。これは
本年3月で終わるし、当然のことながら、寄付会計は、REICの通常会計
とは独立である。

 まぁ、これでも、世に多く存在するNPO 法人の中では、陣容が整って
いるほうかもしれない。

 固定的な仕事としては、約120の会員に緊急地震速報を配信している。
そのために会員からいただいている会費が固定収入だ。会員数もかつて
は約160に達したが、漸減傾向にある。REICのような業務を行う機関が
増えてきたこと、さらに、実力のある会員は速報を気象庁から直接受けて、
自分たちで地震情報を加工する傾向が高まったことが理由である。
そんな中で昨年は、日本サッカー協会(JFA)が会員になってくださって、
夏に行われた女子のアンダー20の世界大会の会場で使っていただき、
年末には、クラブワールドカップでも使っていただいた。この辺の事情に
ついては、JFAの方からのレポートがメルマガの11月号に載っているので、
ぜひお読みいただきたい。

 たんに地震速報を流すだけではなく、何とか会員にREIC 独自の
サービスを提供できないか。会費収入に加えて、調査・研究の業務の
受託からの収入をどう増やしていくか。私たちが日夜考えていることは、
これである。十分とはとても言えないが、少しずつアイディアを実行に
移しだした。防災科学技術研究所(つくば)の見学会、会員を対象に
した勉強会、一昨年10月18日には、地震防災シンポジウム「東日本
大震災-私たちの失敗」を開催した。このシンポジウムには、
関西大学の河田教授、入倉京大名誉教授、REIC会員の堀内さんなど、
そうそうたるスピーカーに加えて、震災の影響を受けた関係者の方々
にもお話いただき、これからの大地震にどう備えるかを考える機会を
提供した。当日は定員200人の会場が満席となった。最大の問題は、
人員不足もあって、このような企画を持続的に行えないことだ。

 メルマガの発行は、REIC が何をしているかを世の中の人に知って
いただくことが目的である。「かたやま通信」などという雑文を書かせて
いただいてはいるが、これは、本来の目的ではない。会員企業が、
それぞれやっていること、できることをご紹介いただいて、会員間の
コミュニケーションを図るのが、最大の目的である。会員の皆さまから、
「REICに何を望むか」をお聞かせいただければ幸いである。

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■ 会員トピック :『有益な空振り、有益な無駄足』 ~弘前大学~
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 津波による大災害としては、1896年明治三陸地震では21,959名が
犠牲となり、2011年東北地方太平洋沖地震では約19,000名の死者・
行方不明が出ている。構造物・施設は逃げることができないが
人は逃げることが可能なので、大地震が発生した直後に数時間の
無駄足を覚悟で避難してさえおけば、津波による人的被害は確実に
ゼロにすることが可能である。しかし、現実には、避難が十分では
ないため災害が繰り返されることになる。現在、大津波警報や緊急
地震速報の活用が可能であるが、これらの情報が必ずしも有効に
活用されない要因としては3つの事項が考えられる。一つ目は、情報
を発信する側(行政)の問題として、世評を気にし、高めの空振りを
恐れることから過小評価(危険側)の情報に偏重して発信する傾向が
あることである。二つ目は、情報を受信する側(市民等)の問題と
して、余分なことはしたくないという思いから情報を割り引いて解釈
する傾向があることである。三つ目は、発信側が考える情報の定義
(津波高=海域での津波高)と受信側が考える情報のイメージ
(津波高⇒陸域での遡上高)に大きなギャップがあることである。
これらの問題を克服する工夫としては、情報発信側は、空振りを
恐れずに“有益な空振り”という物の考え方をすること、情報受信
側は、無駄足を恐れずに“有益な無駄足”という物の考え方をする
ことが必要であると考えられる。

 最近は、地震時の安全対策に関連して冗長性(リダンダンシー:
余分、重複性)という用語が使われるようになりつつあるが、地震
防災情報の活用においても“有益な無駄”という意味での“冗長性”
の発想が大切である。なお、構造物・施設は避難することができない
ので、津波による物的被害を抜本的に予防するためには、津波の影響
が及ばない場所に立地することが必須の要件になる。このシンプルな
原則を実行しさえすれば津波による物的被害も確実にゼロにすること
が可能になる。しかし、現実には、安全性・安心よりも効率性・経済
性等が優先されることから災害が繰り返されることになる。

 末尾ながら、現在、弘前大学では、緊急地震速報や緊急津波情報の
活用に関するソフト面の技術と三次元動的解析法を活用した構造物・
施設の強震動及び津波による損傷・破壊評価に関するハード面の技術
を連携させた地震防災技術の研究を推進しています。
     (弘前大学大学院理工学研究科教授 有賀義明)
参照URL
http://www.hirosaki-u.ac.jp/
http://www.hirosaki-u.ac.jp/event/event_2011_12.html#1209

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■ 特集 ②  REIC 3.11 ~風の便り~ Vol.14
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 REIC水井です。
 今回は、宮城県東松島市の仮設住宅にお住まいの漁師さんの話を
します。東松島市の上北谷地応急仮設住宅の方々とは、お付き合い
が長いのです。実は、昨年2月の横浜シンポジウムの時にREICの展示
ブースで東松島市のワカメを配布したのもこちらの方でした。

 このまちでは野蒜(のびる)地区やその南にある宮戸島での津波被害
が甚大で、その地域で行なわれていた海苔の養殖業や漁業が壊滅しま
した。その悲惨な状況からなんとか復興へ向かうために、漁師さん
たちは初期投資が小さくても出来るワカメの生産を始められました。
以前行なったワカメの配布はこの初収穫のものでした。

 宮戸島にある漁港施設は再稼働していますが、周辺にあった家屋や
加工工場は建物の基礎だけが残り何も無い状態です。漁師さんたちは、
内陸の仮設住宅から車で毎朝その何も無くなった景色を見ながら通勤
し海へ出ていかれます。

 仮設住宅の宮澤区長さんの自宅も被害にあい、仕事の作業場も
壊れてしまいました。しかし、つい先月の16日に、内陸にある仮設
住宅の近くに、新しい作業場を建てる地鎮祭が行われました。今後
は、漁業関係者に役立つ機械を作り始めるそうです。

《追記》
 区長さんの自宅があった地域は、12月7日(金)夕方の余震(M7.4)
にて発生した津波で、再び水没したそうです。震災前ではありえな
かったのですが、地盤沈下のため、たった1m以下の津波でも被害を
受ける土地になってしまいました。大地震・大津波は2011年3月11日の
その日に去りましたが、今でもその影響は残ります。

東松島市の場所:http://goo.gl/maps/FViuC
野蒜地区:http://goo.gl/maps/fREGY
宮戸島の浜:http://goo.gl/maps/7JUiQ

横浜シンポジウムでのワカメ配布の様子:
 http://www.real-time.jp/pdf/120202_symposium_report.pdf
ワカメ漁の様子:  
 https://plus.google.com/u/0/117994033388936375907/posts/5yES99we6Fp
REIC311 東北被災地からの災害関連情報:「復興ハングアウト」
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■ R E I C ニ ュ ー ス
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◇ 第12回国土セイフティネットシンポジウム
  『巨大津波からどのように身を守りますか?』を開催します

開催日時 平成25年2月7日(木) 13:00~16:50
開催場所 パシフィコ横浜 アネックスホール205・206号室
主   催 独立行政法人防災科学技術研究所,REIC
後   援 東京商工会議所,社団法人東北建設協会,
       公益財団法人地震予知総合研究振興会
定員200名(先着順),参加無料

プログラムおよび参加お申込みはこちら
http://www.exhibitiontech.com/etec/seminar-yokohama1.html
 
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♪職員日記♪ 『東松島市仮設住宅でのボランティアに参加して』
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 12月15日(土),16日(日)の休日を利用して宮城県東松島市上北谷地区
仮設住宅でのボランティア活動に参加してきました。

 今回の主な目的は、「餅つき大会」を開催し、上北谷地区の仮設
住宅で生活をされている方々に周辺地域の方々との交流も含め元気
になって貰おうというものです。15日の朝早く東京から来た七隈っ
隊(福岡大学のOB、OGで組織したボランティア団体)と待ち合わ
せをし、常磐道~三陸自動車道まで、約450㎞の道のりを約5時間
かけて現地に到着しました。

 到着後、小休憩した後に買い出しです。料理は、あんこ餅、きなこ
餅、ずんだ餅、大根おろし餅、雑煮餅と筑前煮を用意することにしま
した。その日は買い込んだ食材をみんなで手分けして準備することに
追われ、ごぼう、にんじん、れんこん、しいたけ、里芋、鶏肉を細か
く切りきざみ鍋用の用意に大わらわでした。

 当日は、きね、うす、ガスコンロ、テーブルの準備をし、さー本番!
!30㎏の餅つき開始です。地元の方は手慣れた手つきで続々とつき
あげていき、さすがというところを見せていました。また、みちのく
プロレスの参加もあり大いに盛り上がり賑わいました。イベントでは
カラオケも用意されており、のど自慢の人の気持ち良い歌声が場内に
響きわたっていました。つきあがった餅はみんなの笑顔のもとへ次々
と運ばれていきました。やや風が強く寒い一日でしたが、それを微塵
とも感じさせない時間であったと思います。

 上北谷仮設住宅は55世帯約100人程度のコミュニティです。当日
は、仮設住宅の用地を提供している地域の方、周辺地域の方、仮設
住宅の方、我々を含め約70名ほどの参加でしたが、大いに賑わった
反面、仮設住宅での参加者は30名弱と聞きました。地区の代表者に
伺うと、生き甲斐を失いかけて、なかなか外に出てこないとのことで
した。その人達の心境はいかばかりかと思いをはせた時、これから行
わなければならないことは何か、深く考えさせられる思いでいっぱい
です。

 今回の参加で一番心に残ったことは、住宅用地を提供している地区
の区長さんの『借りた恩は孫の代までに返せばいい!』という言葉です。

 「被災された方が今すぐ恩返しをすることは難しいだろう。我々は
あなた達の孫の代まで見守っているから、気長に恩返しをしてもらえ
ばいい。」という、被災者の方々に対する深い愛情が込められています。
 「被災された方々、支援される方々がそのような気持ちでつき合って
いけば必ず復興できる。そして、そういう気持ちを代々引き継いでい
けば、そこで生きていく人達は立派な人間として育っていくだろう。」
という人間教育が込められた深い言葉です。とても感銘し、また近い
内にお邪魔して絆を深めたい気持ちで帰路につきました。
                            (記 事務局 大園)

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発行開始月:2011年10月

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